第四話 風は西から その2
前出したロシアから来たという日本人は、
「ロシアでは、間違った資本主義がはびこっている。
うそをついても金儲けをすることが資本主義だと思っている。」と、いってました。
今回の旅行で、以前にバルト三国を旅行した人が書いた本を持っていってたんですけど、
奇しくも同じ言葉が、エストニア人との会話というところで書いています。
なにか、偶然じゃない様に思います。
また、その本の中には、こんなくだりもありました。
その筆者が、もとパルチザン(だと思われる人)に、
「リトアニアは、今後どのように変わってほしいですか。」とたずねると、
その人は、
「変わらなくいい。普通であればそれでいい。家族や友人と正直に話し合える世の中
であればそれでいい。」
と、答えたそうです。
非常に重い言葉だと思います。
上記の件もあり、これを読んだ時、
一人公園の真ん中で、目頭が熱くなりました。
2004年5月1日、バルト三国は他の東欧諸国と呼ばれてている国と同様、EUに加盟しました。
現時点では、まだ通貨統合は果たしていませんが、今後それも進むにつれ観光客が増え、
物価もの上がり、先行していたチェコなどと同様、どんどん西洋化が進み、
国は豊かになっていくと思います。
少なくとも経済的には。
しかし、豊かになる反面今までに無かった悪いものまでどんどん入ってきます。
貧富格差・犯罪・麻薬・売春…
この変化は、もう止める事は出来ませんし、更に加速いくとしてその中での問題点は、
自国の人々が判断しよいという方向に進んかなあかんのは当然や思います。
ただ、その中でおせっかいながら僕が思うのは、
「家族や友人と正直に話し合える世の中」だけは、守ってほしい。
やもすれば、僕たちが日々の生活に追われ忘れそうになるこのことを。
今後どんどん西の風は強くなってきます。
バルト三国に幸あれ。
少しでも、その土地に触れた僕としては、
そう願ってやみません。
2004.12.8(2003.7.15の文章に加筆)