第 三話 夢はトリノで


 今年の6月にひょんなことから、スレッジホッケーの全日本合宿のお手伝いをさせて頂く機会がありました。
以来今では、このスポーツにのめり込み関西における普及活動に携わさせてもらってます。

 皆さん、スレッジホッケーってご存知ですか。初めて、耳にされる人も多いんちゃうかな。
このスポーツというのは、下肢障害者の方がそり(スレッジ)に乗り、
スケートリンクの上で行うアイスホッケーをベースにした競技です。
 まだまだその歴史自体は、浅いんですけどね。
でも現在では、冬季パラリンピックの正式種目にもなってたりもします。

 僕がこの競技にハマった原因のひとつは、彼ら選手の「目」を見てしまったからなんですね。
 彼らの目は、僕らが普段知っている障害者の目ではありませんでした。
ホント僕ら健常者と変わらない目をしていました。
 また、それどころかリンクの上(彼らだけの世界)においては、僕ら健常者よりも
猛禽且つ獰猛な人種と化しています。
 今まで自分の周りを見渡した時、そのような「目」を持った障害者がいなかった為、
大変ショックを受け、自分の考え方を改めざるを得ませんでした。

 合宿以後、選手の方達と多く話をする機会が増え、今の障害者社会の
現状を彼らサイドから知ることができ、大変多くのことを教えてもらいました。
 でも、私にとって一番大きかったことは、知識ではなく、彼らの姿を見て
もし自分が今後障害者になったとしても、胸を張って生きていけるという
勇気と自信を貰ったという事です。

 彼らは、来年3月の世界選手権、そして2006年のトリノ冬季パラリンピックでのメダルを目指し、
日々練習を行っています。今後も関西における裾野を広げる活動をしながら、
少しでもそのお手伝いをしていこうと思てます。
 
 そこで、僕の夢もちょっぴり彼らと一緒に見さしてもらおうかなと思てるんです。
何かというと、2006年のトリノまでには、関西出身の全日本の選手を育てること。
そして、彼をパラリンピックに送り出し、自分は観客席から応援しているって言う夢。
 まだ、そんなに関西では選手はいないんですね。
 年齢的に見てもその時にピークになっている選手はいないし、
いうなれば、まだ見ぬ彼と共にこれからかんばっていければいいなーと思てます。
 
 でも本当にトリノにいけた、その時には「がんばれー。」って声張り上げながら、
観客席でぼろぼろ泣いてる僕がいるんやろなぁ。
 きっと。

2003.11.30